◎医学部医学科入試が、何故これほど困難であるのか?

医学部医学科に合格することは、昔から困難でありました。しかし、ここ数年の間に、国公立大、私立大に関係なく、医学部医学科に合格するのは、さらに困難を極めるようになりました。最近、頓に医学部入試が難しくなって来たのは、何故でしょうか。私なりに、考察してみたいと思います。

1、理由@→定員数の少なさ

2008年度からの医師確保対策により、医学科の定員数は大幅に増加しました。(その内訳は、国立大767名、公立大179名、私立大420名で、計1366名増です。)そして、平成24年度医学部の入学定員は、計8,991名です。(国立大4,857名、公立大834名、私立大3,300名)(→※文部科学省HPを参照

一見したところ、毎年、多数の医学部入学者がいるようにも思われます。が、東京大学全学部の定員は3,063名、京都大学では2,846名です。この二大学の合計定員は5,909名で、国公立大学医学部医学科の定員5,691名より多いことがわかります。国公立大学医学部医学科に合格するには、東京大学や京都大学の他学部に合格する力が必要であることが、定員数から見てもお分かりいただけるのではないでしょうか。

2、理由A→経済不況とステイタス

医師という職業が、他の職種と比較して、経済的に安定し、社会的地位が築けると考えられていることが、最も大きな要因かもしれません。実際、医師不足が原因で、医学部の定員増加あるわけですから、当然です。

数十年前でしたら、医学部志望者は、頭脳明晰であると共に、医者にならねばならない人(開業医の家系や、医師になることが使命であると考えていた人等)がほとんどでした。適性や資質よりも、頭が良いことが第一理由で医学部を受験をする人は、少なかったように記憶しています。

複数の要因で、国公立大はもちろん、入学金や授業料が極端に高い私立大医学部も、もれなく、難易度は増加しています。一例を挙げますと、数年前まで比較的合格し易いとされた「帝京大学医学部医学科」は、現在、早稲田大学理工学部や慶応大学理工学部合格に匹敵する偏差値(河合62.5、代ゼミ60、駿台58)が、必要です。

3、理由B→医学部の入試難易ランクの易化、という誤解(?)

2008年から今年度までで、医学部の定員は、国公立大で946名増加しました。これが、この志願者の動向に大きな変化を及ぼしたようです。すなわち、医学部医学科入学定員の増加により、倍率低下が起こり、入試難易ランクが易化した、と考えられるようになりました。そのため、2011年入試から急激に志願者が増加したのです。

しかし、これは入試が単に易しくなったとは、結論付けづらい現象です。国公立大医学部の定員増加は、「地域枠入試」などの推薦入試の定員増加に占められており、前期・後期の一般入試では、2011年を見ると前期9名、後期10名計19名の定員枠の減少となっています。結果的に、国公立大医学部の一般入試は難化しました。相変わらず、医学部入試は、難易度が高いのです。そのことを考慮してみれば、現役生で、国公立大医学部志望者ならば、「地域枠」を利用する方法で、合格可能性は大いに高まると思われます。

◎英語の対策

医学部受験生は総じて、数学と理科のレベルが高く、上位大学ほど文系科目、特に英語(東大などは国語も)がキー教科になることが多いです。また、一般的に、数学なら受験生が解けない難問もあり得えますが、英語ではそれほどの難問は考えられません。したがって、医学部合格に求められる英語力は、高いものになります。

高い語彙力、構文・文法力に裏打ちされた読解力、正確な読解を短時間で可能にする速読力、読み取った内容を確実に表現する日本語力、などが要求されます。

1、国公立大学の場合

センター試験全体での高得点(85%以上、理想的には90%)が必要です。国語はなかなか高得点が取れないため、「英語+リスニング(250)」で、合格するには90%(225点)以上の得点を獲得する必要があります。

二次試験では、大学により問題難易度に大きな差がありますが、公開された合格最低点から予想できることは、数学が難しい大学が多いことから、英語は6〜8割の得点は必要でしょう。それだけの得点を挙げるには、まず客観問題を確実に得点し、その上で、日本語訳では構文・文型を見極めるように、要約や説明問題では論点を外さないようにして、部分点を獲得できる答案を作らねばなりません。

2、私立大学の場合

上位大学ほど数学と理科が得意な受験生が多く、得点差があまり出ないことから、英語が合否判定のキー教科になります。英語だけで見た場合、7割以上の得点が必要です。また、私立医科大や私立大医学部は、国公立大と違い、医学部独自で出題するため、医学や健康をテーマにした長文が出題される傾向が強いので、大学独自の問題傾向をしっかりと把握し、医学に関する語彙力も強化する必要があります。

最後になりましたが、これほどまでも困難な医学部入試を突破できる頭脳の明晰さを持っているからこそ、未来の医師たちには、自己の利益のみならず、社会貢献も同様に優先できる人材であって欲しいと、私は思うのです。

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